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大澤真幸「恋愛の不可能性について」

大澤真幸(1958〜)は社会学者。現在京都大学助教授。

「恋愛の不可能性について」という論文で大澤は、「あなたは本当に私を愛しているの?!」という疑念、愛の不安について、言語哲学的に考察する(タイトルから想像されるような、いわゆる恋愛本ではない…)。

「私」が「あなた」を愛している理由がもしあるとするなら、その理由をもって「私」が「あなた」以外を愛する可能性がある。つまり、「あなたは髪が 長くて肌がきれいで料理が上手くて…だから愛している」というように、「あなた」についての思いつく限りの要素を挙げてそれが愛する理由であると主張してしまった場合、「私」は「あなた」以外の同じように髪が長くて肌がきれいで料理が上手くて…な人も愛さなくてはならなくなる。

「私はあなただけを愛している」ということを説明するためには、「私」が「あなた」以外を愛する可能性を検討しそれを排除する必要があるが、そのような可能性が検討できてしまうという時点で、そもそも「私」の「あなた」に対する愛が真に単一的なものであるとは言えないと大澤は見る。「私が愛している人」と「あなた」という二つの固有名(クリプキ参照)のさす対象の同一性が本当にいえたときに、「私はあなただけを愛している」と言えるのである。それは「私」にとって自明であっても、他人には説明することができない。ここに恋愛の不可能性が宿るのである。

本論文ではさらに、愛のコミュニケーション様式としての特殊性(単一的な愛する対象の存在が「私」の単一性を否定する)について考察が深められる。

R.D.レイン「好き?好き?大好き?」

R.D.レイン(1927〜1989)はイギリスの精神医学者。実存主義的視点から「患者」の狂気は、混乱からくる「異常な」行動ではなく、自己表現、コミュニケーションの一形態であるとして、現代精神医学のあり方を疑問視した。

「好き?好き?大好き?(原題:Do you live me?)」は、1976年に出版され、1970年に出版された「結ぼれ(原題:Knots)」と同様に、詩とも劇とも対話とも取れる独特のスタイルで人間心理を描いている。

対談で挙げられているのは表題作の「好き?好き?大好き?」である。

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