SCImates α2は機能を停止しています。

肥料の袋にあける穴の数の実験

Sato博士は五つの鉢を用意して、それぞれの鉢に穴の数が違う肥料の袋を入れて苗木の生長を観察した。肥料袋を入れない鉢、肥料袋に一つ穴をあけた鉢、2つ穴をあけた鉢、4つ穴をあけた鉢、8つ穴をあけた鉢の五つである。その結果、2つ穴をあけた肥料袋をいれた鉢と4つ穴をあけた肥料袋を入れた鉢で成長速度が中程度だったため、この中間の3つ穴をあけた肥料袋を使えば、安定して窒素とリンを供給できるだろうと考えた。

肥料袋なし6ヶ月後枯死
1つ穴をあける成長速度
2つ穴をあける
4つ穴をあける
8つ穴をあける
7.jpg

右の写真は、実際の実験の様子である。右から順に、肥料袋なし、穴1つ、穴2つ、穴4つ、穴8つである。

マングローブの経済的価値

1992年から1999年までに80万本植林したしたところ、魚や貝が増え、植林は漁師にとって有益であることがわかる。これはマングローブ植林による間接的な経済効果ということができる。マングローブの植林によって村の経済は向上し、村民、特に漁師は植林の価値をよく理解しているそうだ。

また、マングローブの実を乾燥させれば飼料として使うことができ、これは直接的な経済効果といえるとおっしゃっていた。種子も飼料として使うことができるが、種子には必須アミノ酸の1つであるトリプトファンがないため、水に浸して発芽をさせる。発芽すると、植物の体内でトリプトファンが作られるようになり、より良い餌となる。この飼料を羊に与えたところ、子供を産むことができた。しかし、ミルクは出なかった。

そこで、魚の廃棄される部分を粉末えさにして与えたところ、ミルクが出るようになり、これはマングローブの植林によって家畜産業が発展する可能性を示唆している。

さらに現在、マングローブの葉は消化しにくいので、Sato博士はなんとマングローブの葉により納豆をつくることを考えているそうだ。納豆は、納豆菌が消化しやすくしてくれるだけでなく栄養的にも付加される。

8.jpg

<マングローブの種を植える村人達>

マングローブ植林技術の改善点

苗木を三ヶ月別の場所で育て、それを掘り起こし海岸に運んで植えるという作業は、非常に労力を要するものだった。そこでSato博士は缶詰がたくさん廃棄されているのを見て、缶詰の底をとって筒状にし、それを苗床にして直接海岸に種を植える方法を思いついた。缶は、波から種を守るとともに、鉄の供給源ともなる。これによって苗木を海岸まで運ぶ必要がなくなり、多くの時間と労力が節約された。

9.jpg

<波の作用を和らげるのに使ったコンクリートブロック>

また、小さい苗を波の作用から守るために鉄の棒が数本突き出ているコンクリートブロック(写真)を海岸に設置した。この鉄の棒も鉄分の供給源となる。

10.jpg

<遊牧民のラクダとフェンス>

遊牧民の家畜による被害

遊牧民がラクダや羊、ヤギをつれて村を通過することがあり、その際にラクダなどがなんと一晩に2万本もマングローブを食い荒らしていってしまうことがあったらしい。そのため、マングローブ林の周囲をフェンスで囲い、さらに警備を行うことで遊牧民の家畜に食べられないようにすることが必要であった。遊牧民を追い払うのがこのプロジェクトで最も苦労した問題だったそうだ。

その他の問題

Sato博士は"See how poor these people are."(この人々がどれだけ貧しいか見てください)と言い、家の写真を見せてくださった。それは、家とはいえないほどボロボロで、崩れかけた掘っ立て小屋のようだった。 もちろん、電気は通っておらず、外の気温は50度にも達する。このような場所で生活をしていくのがどれだけ大変か私には想像できない。

さらに、乾期にどうやって水を供給するかが問題となっている。乾期には水を人と動物が共有するため、これによって伝染病が蔓延する事が懸念される。Sato博士は、海水を真水に変えることを考えているそうだが、4リットルで1セントと、村人にとってはコストが高く、実現できていない。

11.jpg

<村人の家>

文責:平山 佳代子

このページに寄せられたコメントとトラックバック

*コメント*トラックバック

準備中

寄せられたトラックバックはありません。

このページについて