講演内容先取り紹介
加藤隆子「地上の太陽から宇宙を探る」
自然科学研究機構、核融合科学研究所の加藤隆子先生は、「プラズマ原子分子分光学」という分野を開拓しておられます。
「分光」という言葉になじみのない方もおられるかも知れませんので、簡単に説明させていただきます。
遠い星や、核融合反応などの極限状態にある物質を調べようとするとき、その場所に行って直接調べることは現実的ではありません。しかし、その物質が放出している光を、分析することによって、
- どんな物質があるのか
- どのくらいの温度か
- どのくらいの早さで動いているのか
- どのくらいの密度か
- 磁場、電場はあるか
など、驚くほど多くの情報が得られるのです。このように、光を分析して物質の状態をみてしまおうという学問分野を「分光学」といいます。
核融合発電実現のため、また、核融合研究をもとにして天体などにおけるプラズマの挙動をより深く知るために、加藤先生はLHDを使い、分光学というアプローチでプラズマ研究を行っておられるのです。
例えば、鉄のイオンは通常、3価までしか取りませんが、原子核と電子がバラバラになるようなプラズマの中では、さらに電子がはがれた4価以上の「多価イオン」と呼ばれる状態で、鉄が存在しています。鉄は26個の電子を持っているので、実に26種類ものイオンができるのです。そうした今までにない物質の状態を追うチャレンジングな分野を当日はお話いただけると思います。
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