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講演内容先取り紹介

高部英明「レーザー核融合から新しい宇宙物理学の誕生へ」

大阪大学レーザーエネルギー学研究センターの高部英明先生は、「慣性核融合」というアプローチで、核融合の研究をされています。

「慣性核融合」という言葉の「慣性」と、「慣性の法則」の「慣性」は同じ意味です。トカマク方式の核融合炉や、LHDが、磁場によってプラズマの閉じ込め時間を確保し核融合を起こすことを考えているのに対し、慣性核融合は、核融合を起こしたい物質を一気に加熱・圧縮してしまい、その後、磁場などで閉じ込めるような措置は取りません。高温高圧になった物質は、広がり低温低密度になろうとしますが、質量をもった物質がある距離を移動するには時間がかかります。一度ある狭い空間に押し込められた物質は、「慣性」によって、有限の時間、その周辺にとどまらざるを得ないのです。慣性核融合の「慣性」とはそういう意味です。

さて、慣性にまかせるだけで核融合を起こしてしまうような高温高圧はどのようにつくられるのでしょうか?高部先生の所属する機関の名前をみてわかるように、レーザーを使用するのです。しかしその規模は、会議のプレゼンテーションで使うようなレーザーとは比べ物にならないほど巨大で高エネルギーをもったレーザーです。大阪大学にあるそのレーザーの装置は、1辺が100メートルはあろうかという巨大な空間に管が縦横無尽に走っています。生成された高エネルギーのレーザーを、ほんの米粒ほどにも満たないターゲットに照射するのです。

最近様々な分野に応用され大活躍しているレーザー。

なんと核融合までも起こしてしまうレーザーと、その研究によって生まれてきた新技術などにからめ、今後の核融合研究の方向性にまで、非常に有意義なお話をしていただけると思います。

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