講演内容先取り紹介
柳長門「核融合、そして、地球のための超伝導技術」
磁場閉じ込め核融合では、優れた磁石はなくてはならないものです。核融合の条件である長い閉じ込め時間を実現するためには、プラズマを強力な磁場で押さえ込む必要があるからです。実際には超伝導コイルを用いた電磁石によって、プラズマを押さえ込んでいます。
超伝導とは、「絶対零度近く(−273℃)まで下げると電気抵抗が全く無くなる」という特徴があります。これにより、少しの電気で非常に強い電磁石を作ることが出来るのです。超伝導の技術を利用した乗り物では、リニアモーターカーが有名ですね。
LHDでは本体の外側に、超伝導コイルを流しプラズマを閉じこめます。実験中、この空間は常に液体ヘリウムによって絶対零度近くの超低温に保たれ、コイルは超伝導状態になっています。そして、隔壁を隔てたその内側には磁場で閉じ込められた一億度のプラズマが流れています。わずか3mほどの空間に超低温と超高温が共存している、それがLHDなのです。
この超伝導技術を利用すれば、電力不足など、様々な問題を解決できます。例えば、超伝導状態にした送電線を世界中に張り巡らせたら、どこへでもロスなく電気を送ることができるのです。しかし、本当にそんなことができるのでしょうか?講演では、その可能性についてお話します。
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