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バーチャル川原寺−草原に突如今は無き川原寺が出現。

川原寺は、飛鳥時代に(7世紀頃)奈良県明日香村に、建てられた官寺である。現存する建造物はなく、「国指定史跡川原寺跡」となっている。

temple and CG
写真2 現在の川原寺とCGで再現される様子

この草原に、3日間だけ、川原寺をバーチャルに再現しよう、というのが、このプロジェクトの概要だ。プロジェクトのホームページはこちら。研究内容がわかりやすく説明されている。
具体的には、写真のようにゴーグルをつけると、広い草原に突如川原寺が出現する。

vertual goggle写真3 当日バーチャル体験をする人の様子

一般公開当日は、会場にかなりの人が集まって、テレビでも特集された。我々も、先生のパソコンで川原寺がどのように見えるのかを見たが、かなり現実感あふれるものであった。

【技術】天候に合わせて見え方が変わるCG

私が、川原寺プロジェクトにおけるバーチャル化技術で一番おもしろいと感じたのは、ゴーグルを覗くときの天候に応じて、川原寺の見え方が変化することである。従来のCGは、周りの環境の変化に対応することができなかった。たとえば、実際の天気が曇りなのに、CGの部分だけ光り輝いている、といったちぐはぐな現象が起こったりしていた。しかし、このCGは、天候に応じて影を変えることができ、太陽や雲の動きに応じて、光の当たり具合や、逆光なども再現可能だそうだ。ハイライト(光が当たってい白く見えるところ)もきちんと変化する。実際に、一日の川原寺の見え方の変化を見させてもらったが、太陽の動きに合わせて明るさが変化する寺は見事で、本当にそこに寺が建っている感じがした。

Q.なぜCGで遺跡を再現なさるのですか?

A.(池内先生)実際に再建するには、ある程度自然破壊をしなければならない。実際に、樹齢2000年の木を切ったりすることもあるんだよ。また、現存しない建造物については、当時どのような姿であったかについていろいろな説がある。パルテノン神殿は、建ててから実は間違っていたことで有名。当時の姿を再現するときに、有力な説がいくつもある場合全部建てるわけにはいかないし、片方建てても文句がでる。CGなら、映像を取り替えるだけですむでしょ。

私も、CGではどうにも現実感が出せないというのが難点だと今まで思ってきたが、今回見たCGは満足できるものだ。樹齢2000年の木を切ってまで昔の建物を再建するのは自然と文化の保護の間に矛盾を感じる。しかし、どんなに正確な設計図があったとしても、実際建てて触れてみなければわからないことは山ほどある。ある程度のところでアウトプットをしないとイメージできないからだ。それならば、アウトプットの技術(今回ではCG)を向上させて自然を壊さないようにしていけばよい、という新しい発想を感じた。

この研究の今後の発展性について、池内先生はさらに「自然を壊さないCGで、飛鳥時代の明日香村全体をモデル化したい」とおっしゃった。「本当は、機械をどんどん小さくして、自転車に乗っけられるくらいの大きさにして、バーチャルなお寺の周りを回って見学できるくらいにしたいんだよ。それに、当時の人々の生活まで再現できたらなおいいね。」
先生の発想力は、とどまるところを知らない。

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