JAMSTEC・高井研博士取材レポート
2006年4月3日(月)、JAMSTEC(海洋研究開発機構)極限環境生物圏研究センター地殻内微生物研究プログラム・プログラムディレクターとして深海の研究に取り組んでおられる高井研博士をゼミ生が取材しました。その一部始終をご覧ください。
人類最後のフロンティア―深海
"深海"この響きは妙に私を惹きつける。光も電波も届かない世界。冷たく暗黒で高水圧。海の底ではマリンスノーが静かに降り注いでいる。ユメナマコのように赤くゆらゆら揺れる美しい生き物がいる一方で、奇妙でグロテスクな生き物がいく種も存在する。この神秘的な世界は不思議に満ち溢れていて、人を魅惑する。
世界がびびるJAMSTECで微生物の研究を
高井さんがアメリカの大学院に留学していたとき、ニューヨークタイムズが「JAMSTECが世界で最も深く潜水できる有人潜水艇『しんかい6500』を作った」と大々的に報じた。JAMSTECは、日本国内よりもむしろアメリカやヨーロッパで広くその名が知られている研究所で、当時、日本で深海熱水噴出孔に潜航し研究できるのは、ほとんどJAMSTECの研究者だけだった。
生命の起源に迫る
地球が誕生したのは46億年前。宇宙で塵が集まって形成された隕石や微惑星が衝突を繰り返し、地球という惑星になった。衝突や、放射性元素の崩壊による加熱で、当時の地球は表面温度一万度以上の火の玉だった。
どうやって微生物を採取するか
熱水は海底から出ているが、そのさらに下となると、掘らない限りたどり着くことはできない。しかし、ダイレクトにそこにアクセスする方法論はあるものの、技術的には難しくいまだ成功していない。
日本のまわりにはいなくて、インド洋にはいた。なぜだ。
インド洋の熱水噴出孔にだけ最古の微生物と同じような微生物が見つかったということは、46億年前の環境を、インド洋の熱水噴出孔が同じように保存していることを意味する。インド洋の熱水噴出孔の近辺では、マグマだけでなく地球のマントルが表層にまで上昇し、ある特殊な環境条件を形成していることが高井さんのグループの研究でわかってきた。
地殻内微生物研究
ちょうど高井さんが博士課程だった1990年代中ごろ、日本独自の深海掘削船を作っている段階で、アメリカで先に作られた深海掘削船を使った研究によって、海底下に大量の微生物がいることが分かってきた。
海底下に流れる水
海底下には、海の下だから大量に水があるのだろうと考えがちだが、実はほんの少しの部分にしか水は流れていない。それでは、その水はどこらへんに、どういう風に流れているのだろうか。
しんかい2000、しんかい6500
さて、ここで、取材時に見せていただいた、有人潜水船「しんかい2000」と「しんかい6500」を紹介しておこう。
サイエンスは、パッションだ
科学は、論文という自分の作品を残していく点で、小説や絵と同じだ、と高井さんは主張する。論文には、書いた研究者の全てが表れる。論文は芸術であり、サイエンスはパッションだ、と。
文責:野村 直子
準備中