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サイエンスは、パッションだ

最後に、高井さんにサイエンスについての想いを語っていただいた。

科学は、論文という自分の作品を残していく点で、小説や絵と同じだ、と高井さんは主張する。論文には、書いた研究者の全てが表れる。論文は研究者の人間性を映し出す芸術であり、サイエンスはパッションだ、と。

もう一つ強調されていたのが、既成の学問の枠に囚われていては、最先端の研究はできないということだ。

科学者が求める真実は一つ。真実に近づくには、学問の枠を飛び越えて、あらゆる角度から迫らなければならない。これが高井さんのグループのスタンスである。メインワークである微生物に、地質学、地球化学、分子生物学、その他もろもろの学問を組み合わせて、地球微生物学、という分野を切り開き、深海に秘められた大いなる謎に迫ろうとしているのだ。



(取材時の高井先生)

以上で、取材内容は終わりだ。

人が到達していない地球最後のフロンティア、"深海"。

大深度の掘削を可能とする、ライザー掘削船「ちきゅう」が来年から動きだすという。「ちきゅう」によって、ほぼ全ての海底を掘ることができるようになる。我々は、生命の起源、多細胞生物の出現、大量絶滅など生命のダイナミックな進化史を探る鍵を手にするかもしれない。

何が見えてくるかはまだ分からないし、成功するかどうかも不明だ。しかし、やってみなければ進めない。

生命はどのようにして誕生したのか、生命と地球との共進化はどんなものだったのか。人類が共通して持つ最大の謎が、深海という神秘的な場所で、いままさに解き明かされようとしていることに興奮する。

最後になるが、3時間に及ぶつたない取材にお付き合いいただき、さらには、JAMSTECの施設の案内までしてくださった高井博士に感謝の意を表したい。



文責 野村直子

深海研究のホームページ

JAMSTEC:http://www.jamstec.go.jp/

極限環境微生物学会:http://wwwsoc.nii.ac.jp/se/

JAMSTEC 極限環境生物圏研究センター 地殻内微生物研究プログラム:
http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/XBR/suger/jp/mejsubex.html

深海研究に関連した本・DVD

深海生物学への招待,NHKBOOKS,長沼毅

深海生物ファイル,ネコ・パブリッシング,北村雄一

深海に挑む,裳華房,掘田宏

海洋の科学,NHKBOOKS,蒲生俊敬

深海底の科学,NHKBOOKS,藤岡換太郎

深海底からみた地球,有隣堂,掘田宏

ALIENS OF THE DEEP,ジェームズ・キャメロン

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