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「攻殻機動隊S.A.C.」 第三話 ささやかな反乱

櫻井圭記氏脚本作品。

一般普及型アンドロイドの特定機種「ジェリ」が一斉に自殺(自壊)する、という事件が発生、公安9課が捜査に乗り出した。犯人は、自身の持つジェリを世界で唯一のものにしたいと願う、一人の青年であった。ジェリの生産工場にウィルスを仕込んで、世界中のジェリを破壊していたのである。

青年は自身のジェリをつれて車で逃走するも結局捕まり、事件は解決するが、青年がジェリと交わしていた恋人同士であるかのような会話が、実はプログラムされたもの(ゴダールの映画のセリフからの引用、実際青年のジェリは同映画の主演女優ジーン・セバーグに似ている)であったことがわかる。さらに、青年の連れていたジェリは、青年の逮捕時には青年に逆らって逮捕に協力する動きを見せ、引用元の映画にはないセリフ(「愛していた」)を一つ余計に発した。交流を含んだ会話とはなにか。アンドロイドに感情移入する青年をわれわれは馬鹿にできるのか。アンドロイドであるジェリがプログラムの枠を超えた何か(ゴースト)を持っていることや、青年とジェリの間に築かれた愛情のようなものの存在が示唆され、ロボットと人間の境界や関係について改めて考えさせられる。

この話の大きなポイントである、「一見普通に交わされているように見える会話が、実はプログラムされたものである」というものが、瀬名秀明氏の著書「デカルトの密室」でも見ることができる。「第一部 機械の密室」の序盤に登場するチューリング・テストでは、赤の回答者による回答が、すべて「不思議の国のアリス」と「鏡の国のアリス」のテキストをインターネット上で拾い、組み合わせて作られたものであるというくだりがある。

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