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ウィトゲンシュタイン+永井均

永井均(1951〜)は日本の哲学者。対談で触れられていたのは、著書「<子ども>のための哲学」。

L.ウィトゲンシュタイン(1889〜1951)はオーストリア出身の哲学者。言語哲学の祖。

永井は、著書「ウィトゲンシュタイン入門」の中で、ウィトゲンシュタインの哲学を前期、中期、後期の三段階に分けている。有名な「論理哲学論考」は前期、「哲学探究」は後期にそれぞれ当たる時期の著作。

ウィトゲンシュタインが捉えた先験的な「語りえないもの」たちは、まず前期において「論理空間」として考えられた。「論理空間」とは、言語は世界を写し取る写像であるという写像理論に基づき、そのようにして像を描くためには、言語と世界は「論理空間」を共有していなければならない、として案出された概念である。その論の核心は、あらゆる推論は数学や論理学におけるトートロジーに収斂されるとする考えに見られる。

中期に考えは変わり、トートロジーではない規則としての推論があるとされる。たとえば「黄色と青色が同時に同じ場所を占めることができない」のは、それが世界の本質だからではなく、物理的あるいは心理的な事実だからでもなく、それが文法的真理だからである。これに反論するためには、やはり文法に従わざるを得ず、我々は文法という規則の外に出ることができない。

だが後期には再び考えが変わる。それは、中期で考えられていた文法などという規則に従うことはできないからだ。規則に従うには、ある一定の仕方で従わねばならない。だがその規則への従い方の規則はどう決めるのか。その規則への従い方は……この無限後背のパラドックスに突き当たって、ウィトゲンシュタイン哲学はいよいよ佳境とも言うべき「言語ゲーム」の哲学へと進む。ここでは、中期の「規則」が「慣習」へと変化している。つまり「言語ゲーム」とは、ルールに従わずとも、日々ただ遂行されているものなのである。

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