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悪用される可能性のある神経科学

立花私は米国内で多くの神経科学者を訪ねました。
シェーピン博士、ニコレリス博士、バーガー博士などの先端的な研究を目の当たりにして、神経科学が「科学」から「技術」への段階に達していることに、大変驚きました。
この技術の進展は早く、多くの希望をもたらしてくれますが、同時に不吉な将来を招く可能性も感じました。
グリーリーたしかに最近の神経科学の進歩は非常にめざましく、脳というきわめて複雑な臓器がどんな働きをしているかについての知識は爆発的に増えています。
神経科学は、神経系疾患を患う人の助けになる可能性を秘めており、この分野には大きな関心と資金が注がれています。
しかし、よい目的に使われるべき知識と努力のすべては、悪いことに使われることもあるのです。
我々倫理学者は、この技術が悪用される可能性を懸念しはじめています。
私は、この技術の悪用が懸念される分野が3つあると思います。

困難な問題をもたらす分野1:「予測」

グリーリー第一は、「予測」という分野です。
つまり、ある予測をするために神経科学を使うのです。
我々は一生を通して常に予測をしていますが、たとえばMRIか何かの装置によって、ある人が10年以内にアルツハイマー病になることが予測されたとしましょう。
その予測は、患者側に幾分役立つでしょうが、それと同時に、その患者を差別するために使われる可能性もあります。
その人のプライバシーを侵し、権利を奪うことに使われる可能性があるのです。
刑事司法制度でも同じです。神経視覚化(neuroimaging)技術によって脳を調べることで、どの犯罪者が犯罪を繰り返すかを予測できると考える研究者たちがいます。
それが正確ならば素晴らしいことですが、不正確なら問題が生じます。まだ何もしていないのこの人は危険な人であると判断されるかもしれません。
脳を調べることで、その人が殺人犯や強姦犯など凶悪犯罪者になる危険性が高いとなったら、その情報をどうしますか?
神経科学から得られる予測情報の使用をどうするか、また、それが社会にどう影響を及ぼすかといったことに関して、深刻な問題が生じるでしょう。

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