悪用の例:脳の操作
グリーリー | 脳内にチップを埋め込み、その人をコントロールする可能性も考えられます。 脳の中に電気信号を受けるチップを入れ、信号を送ってその人を喜ばせたり、落ち着かせたり。 落ち込んでいる人が望んでそれを使うならば喜ばしいことですが、人々を強制的に鎮圧するために使われたら……。 現在まだそこまでは可能ではありませんが、将来、人々の脳を直接コントロールする社会統制の道具として使われることは想像できます。 |
立花 | 脳の操作ですね。 |
グリーリー | そうです。 脳をコンピュータに結びつけるインターフェースによって脳がコンピュータを操作することができるのですから、コンピュータで脳を操作することだってできるでしょう。 |
悪用の例:心の操作
立花 | 将来、人の心を操作するためにも使われる可能性はありますか? |
グリーリー | ええ。 気分もコントロールできるようになるかもしれません。 幸せ、悲しみ、怒り、満足など、あなたが考えていることを正確にコントロールすることは難しいとは思いますが、不可能だとはいえません。 政治家なら、選挙前に投票者をコントロールしたいと思うでしょうね。 |
悪用の例:軍事利用
立花 | 私はDARPA(米国防総省高等研究計画局)のシンポジウムに参加したのですが、軍事関係者がこの技術に強い関心を示していました。 彼らは将来、殺人マシーン、スーパー兵士を生み出すのではないでしょうか。 |
グリーリー | それが神経科学における大きな懸念の一つです。 多くの国の軍事関係者が神経科学に強い関心を持っていますが、特にDARPAは高度な研究をリードしてきた長い歴史があります。 インターネットの開発では大きな成功を収めましたが(注:DARPAの前身ARPAはインターネットの原形となるARPAnetを開発した)が、ESP(注:"Extra Sensory Perception" いわゆる超能力)の研究では全く成功しませんでした。 DARPAの研究は卓越したものと、正気ではないものの狭間にあります。 |
第2回: >>(2)へ
準備中