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能力の強化

立花能力の強化それ自体は責めるべきことではありませんか?
グリーリー強化が悪いことだとはいえないと思います。
特に私は学生に教える立場ですが、学生の思考力を高めることそれ自体が仕事です。
問題は、人工的な能力強化に悪い点があるのかどうか。
能力を人工的に高める技術のうち、懸念されている問題が五つあります。

第一は技術の安全性。
治療で使われている技術は、健康人には害がある場合があります。
重病患者には多少リスクがあっても試しますが、健康な人にはリスクが高すぎる場合があるのです。

第二は公平性。
能力を高める技術が一部だけの人の手に入るようでは不公平です。
知識がなかったり、経済的な理由で使えなかったりするのは不公平です。
誰にも機会が与えられるようにすべきです。
公平性の問題は深刻です。

第三は強制。
たとえば、強制的に薬を飲ませることです。
雇用者は従業員を強制的に研修先へ送ることはできますが、彼らの脳の機能を強制的に変えるわけにはいきません。
脳機能を変えるのは、研修に参加させて効率的に仕事ができるようになるための方法を学ばせるのとは違うのです。
政府、雇用者、教育機関などが、人の望まないことを強いる危険性には注意が必要です。
さらに悩ましい問題が予想されます。
医者を目指す学生の例です。
医者になりたい学生は沢山いますが、実際になれる人はわずかです。
クラスの誰もが能力強化の手段を使っていたなら、選択の余地はありません。
暗に強制されてしまうのです。
このような暗黙の強制は深刻な問題を引き起こすでしょう。
銃を頭に突きつけられなくても、医者になりたければこの手段を使ってしまうでしょう。
もうひとつ、あまり強制だとは気づかれていない例があります。
それは、親が子供にするしつけとしての強制です。
就寝時間、食習慣、通学など、親は子供に選択肢を与えず、強制しています。
子供の望まないもの、興味のないものでも、親が子供を伸ばそうと努めているものもあります。

第四は、言葉の選択が難しいのですが、誠実さです。
正当性に対局する姿勢といってもいいかもしれません。
野球選手のステロイド使用は悪いことだとされています。
これと同様に、教育や人生の成功といったことに関して一定の規則があるべきだという考えに従えば、能力強化は不正行為と考えられるでしょう。

第五は、不自然性です。
思考力を高めるために強化剤や脳内チップを使用するのは、人間本来の姿ではありません。
人間は、そのように進化しませんでした。
宗教を信じる人に言わせれば、神は人間の頭の中にチップを創造していない、ということになります。
フランケンシュタインの映画を見て、科学は人間を人間らしくないものに変えていると懸念する人もいます。
人間の今の姿を変えるのは悪いことであるというのです。
しかし、この論議には難しい面があります。
なぜなら人間の多くの部分がすでに自然とはかけ離れているからです。
十万年前の我々の先祖は服も着ませんでした。
火も道具も使っていません。
現在我々がこれらのものを使っているのは不自然だといえます。
立花さんは飛行機で日本からアメリカにやってこられましたが、これも原始時代の人間の目から見れば、不自然です。
しかし、私たちはこうしたことを社会生活の一部としてすでに受け入れています。
不自然すぎることと、そうではないものとの間に一線を引くのが非常に難しいのです。
立花あなたは、女性が整形手術をすることに反対ですか?
グリーリーよい例だと思います。
私は整形手術をする女性は、虚栄心の強いおろかな人だと思っています。
では、脳の機能強化を利用する人にも同じような見方をするかというと、わかりません。
立花英国のケビン・ワーウィックという研究者は、自分でサイボーグになりたくて、チップを体内に埋め込んでいますが、反対しますか? 私は、不自然だと思いますが、反対する立場は取れないと思います。
グリーリーそれは議論の余地があるところです。
安全性に疑問がある場合、危険を防ぐために規制が許されると思います。
バンジージャンプは許しても、時速200キロの運転でシートベルトを着用しないのは許されません。
ヘルメットなしでオートバイの運転ができない場所もたくさんあります。
各国政府がそれぞれの文化背景の下で、望まないと決定してかまわないと思います。
ちょうど、野球の規則でステロイドの使用を禁じたように、私たちが決定できることです。
私はワーウィック教授を止めたりしませんが、政府が禁止法を望むことも間違っていないと思います。
立花彼は自分自身に対してチップを埋め込むという決定を下し、行いました。
この場合、誰もとめることはできないのではないでしょうか。
グリーリーいえ。
認可されていない新薬を自分で試すのは禁じられています。
安全上の規則に従って許可を売る必要があるのです。

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