NHKに入社した理由
飛鳥井 | 岡田さんは物理をやっていたそうですが、NHKに入ったきっかけは? |
学生一同 | えっ、そんなとこから(笑)。 |
岡田 | 僕は大学院まで物理を勉強していたのですが、NHKへと進んだのは「物理が楽しくなかった」ということではないんです。研究室に入ってみて、現代の科学ってどこもそうですけど、すごく細分化が進んでいて、専門的な分野に集中して研究するというか、そういう側面があって。自分の能力がなかっただけかもしれませんが・・・。一方で大学時代からいろいろなことに首を突っ込むのが好きで、NHKならすごくいろいろな人に会っていろいろなことを知ることができると聞いて、それで入りました。 |
近江 | 私も初めて知りました(笑)。 |
岡田 | はじめは理学部にいたんですけど、3,4年生の時に。そのあと、駒場に総合文化研究所というところがあって、そこで素粒子物理学をやってました。そこで論文を読んで数学を使って素粒子の理論を作るという研究をやってました。 |
平山 | NHKに入るために何か勉強とかされたんですか? |
岡田 | ええと、僕は実は何も知らなくて、テレビとかをどうやって作るのかも何も知らなくて、全くのずぶの素人で入ってきました。でも、若い、小さい頃から、NHKの番組はずっと見ていたし、あと、ちょうど僕が入る直前にやってたのが、「映像の世紀」というシリーズだったんですけど、それを見て、NHKに入ろうかな、と。 |
飛鳥井 | ということは今何年目ですか? |
岡田 | ええと、今8年目かな。 |
飛鳥井 | では近江さんは? |
近江 | 私は超文系で、もともとこの番組は岡田君が「こんなネタがある」って言って彼が中心になってやってたんですけど、上司の藤木が、「やっぱり文系の人間が入って何が視聴者にとって分かるか分からないかを見たほうがいい」といって私が連れてこられたんです。それか、藤木が岡田君の話を聞いてわかんないことが多かったから一緒にわかんないって言ってくれる人間が欲しかったのかも(笑)。 私はすごく文系で、大学入った頃はすごく文学少女で、ラテンアメリカの文学というすごいマイナーなものをやってました。サークルで雑誌をつくっている間に新聞社に入りたいなぁと思ったんです。それで大学院はフィリピン大学のジャーナリズム科というところに進んだんですが、なんか向こうにいる間にテレビの、映像の持っている力はすごいなと思って、NHKに入りました。 |
大学時代に学んだことで役立ったことは?
青山 | 大学で学んだことでNHKで役立ったことは? |
近江 | あ、それは全然ないですね(笑) というかスーツとか来てキャリアウーマンみたいに働けるのかなと思ってたんですけど、全然現実は…。ちょっとそういうのにあこがれていたので。地方局とかだとホントに…ケーブルを運んだりとか。腰にガムテープ下げて歩いたりとか。私は14年目ぐらいかな。 |
飛鳥井 | 理系だと配属とかに専門は反映されないんですか? |
岡田 | 僕は広い観点からいろいろなことをやりたくて自ら報道を希望したんです。ただ、その中でもなんとなく専門性というのはあって、科学のネタだと岡田がやれということになることもあります。今回、神経工学の分野を知っている人は僕も含めて周りには全くいなかったのですが、広い見地からやろうとするとどうしても見落とすところが出てくるのかもしれません。いろんなメリットやデメリットがありますね。 |
理系と文系の差はあまりない
青山 | やっぱり理系っぽい人はいないんですか? |
近江 | 圧倒的に文系が多いですね。9割がた文系なんじゃないかな。科学とかの番組には多いけど、逆にそういうところに関係のない文系の人が入ってたり。 |
岩間 | やっぱり理系と文系の壁は大きいんですか? |
岡田 | 大きいと思ったことは一度もありませんね。 |
近江 | 特に報道にいると毎回違ったことをやらされるので私だったら医療だとか今回の科学ものもそうですけど。岡田君なんかは前、憲法をやってたんです。逆に知識が蓄積しないからもどかしい時もありますけど。 |
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