サイボーグ技術のマイナス面
岩間 | 番組の中でサイボーグ技術によって耳が聞こえるようになったとか、手が使えるようになったとか言う人々はサイボーグ技術に対して賛美の声はたくさん聞かれましたが、逆にサイボーグ技術を懸念する意見というものはまったくなかったのですか? |
岡田 | マイナス面を言った人ですか?スタンフォード大学のグリーリー教授はもちろんですが、それ以外では今回の取材では人工眼のイエンスさんがそういう人でした。 |
岩間 | メンテナンスを受けられなくなってしまった人ですよね。 |
岡田 | そういう面で懸念はしていました。もちろん全体としてはすごく良かったとおっしゃっていますが。ただ、もっとましな技術者がいてくれればということはずっと言っていました。 |
青山 | それは技術自体ではなくて技術者のレベルという意味でですよね。 |
岡田 | そういうことだと思います。ただ大きな意味ではたった6ドットが見えただけでもすごく良かったといっているので。何を重視するかといったら、そっちですよね。 |
岩間 | 今の質問で聞きたかったのは、サイボーグ技術が当たり前のように僕たちの日常に応用されるとき、享受した僕らはすぐに当たり前だと思ってしまうのかどうかが知りたかったんです。 |
岡田 | 今の段階はみなさん、自分で望んで手術をされているので、サリバンさんなんかもそうですけど、もっと技術が進歩すればいいなとおっしゃっていました。今はごく限られた人が自分で決めて手術をしているわけですから、当事者はそれに対してどうこうというのはないようです。これがもっと技術が進歩して普通の人が普通に使うようになったらいろいろと問題が起きてくるんだと思います。 |
「火星の風を感じたい」
平山 | 今回3、40箇所の研究室を回って、でも番組に載せるのは無理だったというところで、いちばん残したかった研究室はどこですか? |
岡田 | いちばんですか…困りますね。 |
近江 | ワーウィック教授という人類初のサイボーグになったという人で、わざわざイギリスまで行ってきましたが、NHKスペシャルには入らず、その後の関連番組に入ることになりました。 |
岡田 | あと、個人的には、話は難しかったですけど、ニコ・レリス教授というシェーピン教授の仲間で、今脳・コンピューターインターフェースの親玉みたいな人なんですけど、その人の話はすごく未来を感じさせるインタビューだったんです。「ここにいるだけで火星の風を感じられる時代が来る」とか。 |
学生一同 | おぉ!! |
岩間 | たとえもうまいですね。 |
番組をつくった感想
(ここで藤木さんが登場)
飛鳥井 | 藤木さんは今回番組をつくった感想などは? |
藤木 | つくった感想ですか(笑)。 うーん、まずは「やってよかった」というのが単純な感想です。それと、立花隆さんという方とお付き合いできたということが良かったですね。僕はサイエンスだけじゃなくて「人間を見たい」、「いろんな形で人間を見たい」というのがひとつのテーマとしてあるので、良かったです。 今、サイエンスは、確かに光の部分もありますけど、いろいろなところで制御できなくなっているということがあって、21世紀ってそういう時代なんだなっていう思いがあるんです。原爆の問題とかもそうですけど、つくっていく時に、ひとつひとつ検証していくのって必要なのかなっていうのがあって、この番組をつくって、皆さんもそうですけど、なにかザワザワっとした反響がいつまでも終わらないという感じはしています。僕は人間のテーマに関係していないものは基本的にやらないので、そういう面でいろいろ人間について考えられたかなという気はしています。 |
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