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日本における科学技術政策決定システム

はじめに

 これから1時間ほど、『日本における科学技術政策決定システム』という演題でお話をしたいと思います。その後、皆さんから質問を出して頂き、質疑応答の時間をゆったり取りますので理解を深めて頂きたいと思います。

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まず配布資料の1ページをご覧ください。自己紹介かたがた私が関係してきた日本の科学技術に関する組織とその位置づけを話したいと思います。

 まず総合科学技術会議があります。日本の行政の中では一番高位にある機関です。私はここでも仕事をさせて頂きました。また文部科学省の色々な審議会などで仕事をして参りました。

 現在は日本学術振興会という独立の学術の振興支援をする機関の仕事をしています。いわば上から下までといいますか、お金の流れの段階で言うと3つのフェーズで、仕事をしてきた、或いは仕事をしているというところです。

 次にこの三つの関係、相互の仕組みについて順次お話をしたいと思います。自分の肩書きを沢山並べましたが、何も私個人を自慢するつもりではなく、自分の経験してきた諸機関に就いての経験に基づいてお話をしたいと思い、機関の紹介を兼ねて並べてみました。

学問をめぐる法体系について

 私は法学部に長くいた人間ですので、まず法体系からお話したいと思います。

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 配布資料の2ページをご覧ください。科学技術、あるいは学問、学術に関する日本の法体系を簡単に見てみますと、頂点には言うまでもなく憲法があります。憲法23条に『学問の自由は、これを保障する』とあります。それに関連する憲法19条と21条とともに挙げておきました。

 この「思想及び良心の自由」あるいは、「言論及び出版、表現の自由の保障」というのと別に何故わざわざ『学問の自由は、これを保障する』という独立の条文が立てられているのか。驚くべきことに日本の憲法学者は実質的な説明をしていない。学問は思想及び良心の自由、表現の自由のなかに含まれるのだという説明をしている憲法学者さえいます。

 いま来る途中の電車の中で、偶々『国語教科書の思想』という本を読みましたが、その中で著者は、 日本の国語教育では“テキストを批判的に読む”ことを教えていないと嘆いている。それと同じで日本の憲法学者は、日本の憲法を批判的に読んでいないと思います。

 何故23条が独立してあるのか?それをお話しするのは今日の目的ではないので、これ以上は申しませんが、皆さんには各自でその理由を考えていただきたい。思想及び表現の自由とか、良心とかでは収まりきらないような学問や研究の自由が必要なんだ、この条文はまさにその現れでありまして、また別の機会がありましたら、お話したいと思います。ドイツの法律学ではちゃんとその点が論じられております。

講演全容:

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