日本における科学技術政策決定システム
科学技術に関する法律
科学技術に関する法律の中では、科学技術基本法が最上位に来ると思います。これについてはまた 後ほどお話を致します。その下に行政組織を定めている各府省の設置法があります。 そのほかに日本学術会議法という法律があります。これも後でご説明いたします。
それから、国研(こっけん)と俗にはいいますが、各省庁が所管する国立の研究所というものがあります。そのほとんどが独立行政法人になっていますが、実質的には国立であることに変わりありません。 国立大学も法人化され、この国立大学法人法が出来ました。
次に私立大学における研究振興をどうするかについての法律がありますし、あるいは民間の学術研究機関や産学連携に関する法律もあります。
そのほか分野別になりますが、原子力利用とか、宇宙開発とか、もろもろの分野に関する関係諸法がありまして、これらの法律に則って様々な組織が作られ活動が行われています。
組織体系について
それらの法律に基づき具体的にどういう組織が出来ているかを次に申し上げます。
配布資料3ページの組織体系をご覧ください。まず内閣府があります。これは2001年の行政改革、省庁再編成の時に新しく出来た行政府でありまして,各省よりも一段上になっています。内閣官房というのは内閣府とはまた別でありまして総理大臣に本当に直結している。官邸の中に居る、あれが内閣官房です。
この内閣府の中には、男女共同参画とか、原子力とか、金融庁とか、こういうものが中におかれています。
総合科学技術会議もこの内閣府の中におかれているわけです。それから日本学術会議法の改正が行われた結果、日本学術会議も内閣府に属することになりました。この総合学術会議は毎年忙しくしていて、毎年度単位で動いており、日本の科学技術政策の長期ビジョンの確立を目指して活動をしているとはとても言えない。
総合科学技術会議は会計年度の枠内で短期的なスパンでものを処理していくものであり、かつ半官半学の組織ですから、これに対して学者の集団として長期的にものを考えてゆく日本学術会議が車の両輪という形で内閣府の中に入ることになりました。
各省庁の位置づけ
それはともかくとして、その下に文部科学省があります。
文部科学省をその他の省と区別して表示致しましたのは、法律上は科学技術に関する問題は文部科学省がほかの省庁の考えをとりまとめて代表して上に伝えるということになっているからです。まあ、それは絵に描いた餅みたいなもので、実際にはそうなっていないのですが、科学技術に関する事項については文部科学省が他の省庁より頭一つ上に抜け出している形にはなっているわけです。
で、その下に様々な研究機関がある。各省庁の、例えば経済産業省の総合産業技術研究所とか、文部科学省も色々持っている。理化学研究所もそうですし、原研と呼んでいる原子力研究所もそう。それから宇宙航空研究開発機構もある。
そのほかに民間の研究所がある。その研究機関に対して、この助成機関からお金その他の援助をしてやらないと研究が進まない。この助成機関もやはり各省庁の下に付いているわけです。
で、文部科学省には助成機関として日本学術振興会などがある。で、先ほどお話しましたが、私は研究機関で一生のうちの長い時間を送ってまいりましたが、この総合科学技術会議におきまして、そして、その前からですが、文部省におかれていた学術審議会、それから科学技術庁におかれていた科学技術審議会におきまして学術や科学技術の政策決定のお手伝いをしてきたわけであります。そして今は日本学術振興会に来ているというわけです。
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