日本における科学技術政策決定システム
総合科学技術会議の構成
次にこれら一つ一つについて見ていきます。先ず一番上から参りましょう。
配布資料の4ページをご覧ください。総合科学技術会議、これは内閣府設置法に書かれているわけでありまして、議長は内閣総理大臣、関係閣僚及び有識者の議員14名以内で構成するとなっています。
ここでは書きませんでしたが、閣僚である議員は2分の1を超えることが出来ないと規定されております。14名だと閣僚は7名を超えることは出来ない。その7名というのは大体決まっておりまして財務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣など科学技術に関係する大臣です。環境大臣、あと総務大臣、あそこは通信系の仕事をやっているからです。それから内閣官房長官が入ります。
ここでは科学技術振興のための基本政策、予算・人材等の資源配分について調査・審議することになっています。さらに積極的に、総理大臣に対して意見を具申することが出来る、何か諮問を受けた場合だけではなくて、自ら意見を提出事が出来る、こういうことが書かれております。
総合科学技術会議の運営
この科学技術会議は14人の議員からなるが、大臣たちは自分たちの仕事をしているわけですから、7〜8人の有識者議員が実質仕事話をすることになる、勿論事務局は付いております、100人程度の人数の事務局が付いておりますけれども、科学技術そのもののプロは50人ぐらいしかいない。
そこで別に専門調査会を設けまして、そこにいろいろな研究者や有識者に入っていただきまして議論をすることになります。
配布資料5ページをご覧ください。私が現職中に存在した専門調査会の一覧です。うえの5つは、最初からスタートしました。
日本学術会議の在り方に関する専門調査会は、行政改革をする法律の中に書かれておりまして、『日本学術会議のあり方については、総合科学技術会議に委ねる』となっていました。つまり、下駄を預けられてしまったわけであります。総合科学技術会議ができるということを前提に、その前に、既に日本学術会議のあり方について「やれ」と言う法律が出来てしまった。皆そういうことはやりたくないものですから、私がそこの調査会の会長を押しつけられることになってしまった(一同笑)。
配布資料6ページをご覧ください。これは、現在存在する専門調査会でありまして、私がいた時にはなかった調査会は、この知的財産戦略専門調査会と基本政策専門調査会です。後者はここに書いてあります通り、平成18年度から5年間の第3期科学技術基本計画策定するためのものです。
科学技術に関わる日米のシステム比較
次に配布資料7ページをご覧ください。これは、日本とアメリカのしくみを対比したものです。
一番大きな違いは、日本の内閣府の下には科学技術政策担当大臣が無住所大臣としておかれることもあるし、置かれないこともあるという点です。無住所大臣というのは、省に張り付くのではない大臣の1種でありまして、2001年以降は必ず置かれています。この大臣の横にCSTP,Council for Science and Technology Policy(総合科学技術会議)が置かれている。
一方でアメリカの体制を見ていただくと、大統領府を構成している補佐官ですね、Adviserというのですが、この補佐官は大統領と少なくとも週に1回は接触するチャンスを持ち得る存在です。NSTC(国家科学技術委員会)、これは閣僚によって作られている。こっちは民間の有識者に依って構成されている。アメリカの右の2つを合わせた形で、日本のCSTPが構成されていると考えてよいでしょう。
アメリカは補佐官で日本は大臣。後の事務局は似たようなものです。大統領との距離が日米で大分違うということです。
日本のCSTPが大臣と民間人との両方からなっているというメリットも勿論あるでしょうが、デメリットも実はあるわけであります、これは後から申します。比較的にお飾り的にならざるを得ない。
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