日本における科学技術政策決定システム
総合科学技術会議の業務
次に総合科学技術会議の業務についてお話いたします。配付資料8ページをご覧ください。
科学技術基本計画の策定、それから基本計画といってもそう細かく書いてあるわけではありませんので、それをブレイク・ダウンする。つまり具体的にこういうことをやりますよという具体策を示す。それから毎年の科学技術研究開発の基本方針を決め、各省による概算要求の指針として用いられることになっている。
経済財政諮問会議の骨太の方針も同時期に出るわけですが、世の中はこっちのほうが余程大事だと思っていらっしゃる(笑)。
そのほか日本の予算のしくみをご存知の方はわかると思いますが、大体8月の終わりに、次の年度の予算に関する要求を取りまとめまして、財務省に担ぎ込む。それを各省の概算要求というわけです。
これの中の科学技術に関する大型のものについて総合科学技術会議が、S(とても良い)、A(良い)、B(普通)、C(悪い)の4段階に分けて評価するわけです。
「SABC」というと、この会議の中ではこの概算要求の評価付けのことを言うのです。私が就任して2年目からこれを毎年9月の末から10月位にかけてやることになり、現在も盛んに行われているわけです。大型といいますが、段々欲が出てきて、中ぐらいのものまでやっている。より細かく目配りをするようになってきているわけです。
総合科学技術会議の実際
では実際の総合科学技術会議の運営はどうなっているかというと、形骸化しつつあります。
配布資料の9ページをご覧ください。この本会議は月に一回しか開かれず、しかも総理のご都合次第で30分位しか開かれないこともある。30分のうち半分の15分位は、各省大臣が官僚の書いた作文をダーッと読み上げる。
「御経をあげる」というジャーゴンで呼ばれていますが、まさにそういった感じです。御経が終わると残りの15分位で我々が少し喋る。それで終わりです。
なお、大臣は議員として出席することは7人以下しか出来ないが、他の大臣もオブザーバーとして出席することは議長、即ち総理の承認を得れば出来ます。色々な大臣が、たとえば防衛庁長官とかが出ることも出来ます。
このオブザーバーが出ると一人一分喋っても、各省の御経が延々と続くわけですから、例え全体時間が60分あっても御経の時間が終わると実質審議の時間は殆ど残らない。
そのほかに、実際はこちらのほうが大事なのですが、有識者議員会議というのがあり、毎週1回2時間程度の討議をやっています。そのほか、先ほど述べた専門調査会、諸々のアドホックな委員会、それから環境分野についての特殊なものなのですが、4つの重点領域についてイニシアティブというのを立ち上げました。これは後からご説明いたします。
これが結構忙しかった。私は環境の担当をやらされましたので。
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