日本における科学技術政策決定システム
科学技術基本計画の実施
配布資料の16ページをご覧ください。科学技術基本計画はどういう形で実施されていくのかというと、以下の二つがあります。
各省の施策として、各庁がいかなる概算要求をするかという形で行う。しかしその際には先ほど言いましたように、毎年5月から6月にかけて総合科学技術会議から出される基本方針が前提になるわけでありまして、これに引っ掛けた形で各省は要求を行う。つまり各省は基本方針に従うのではなくて基本方針を利用するわけですね。
今日はこういった実情をお話したくてここに参上したのであります。
(以下のお話には配布資料の17ページ,18ページ,19ページ,20ページ,及び21ページが関係します。)
例えば今度の概算要求、つまり平成18年度の予算に関してはですね、文部科学省が「国家基幹技術」という概念を立て、その概念の下で施策を生み出していくんですね。
「総合地球観測監視システム」、つまりその地震とか津波とかいろんなことが書いてありますが、実際には日本のセキュリティについて3つの衛星を8の字型の軌道の上でぐるぐる回して常に日本周辺が監視できるという仕組みです。
それから高速増殖炉での“もんじゅ”のストップしたやつをなんとかしたい、あるいは高速実験炉「常陽」を用いたプラトニウム燃料研究開発などもですね。
それから核融合エネルギーの問題とか海洋探査システムも重点4分野から外れているわけですよね。高速増殖炉や海洋探査システムの開発プランを持っている文科省としては、なんとかしてこういったものをどんどんやっていきたい。そういった理由もあって、こういう概念が立てられたわけであります。
それからもうひとつは科学技術振興調整費という枠についてです。以前は年間200億円くらいの金額でしたが、現在は350億円くらいということになっているらしい。で、これはですね、総合科学技術会議で唯一のお手元金といってもいいんですね。つまり、総合科学技術会議が方針を立てて、配分事務は文部科学省が行うというものです。
この科学技術振興調整費の使い方の一つのアイテムとしてこの科学技術インタープリターの人材育成というのがあります。
たとえば東京大学ではそのおかげで立花先生を特任教授として迎えることができ、この立花ゼミも成立できているわけなんですね。まさに科学技術振興調整費万歳、こういうことでございます。(会場爆笑)
環境分野でのブレイクダウンの例
先程各分野の推進戦略、ブレイクダウンの話をちょっといたしましたが、たまたま私が担当いたしました環境分野でそれをどのようにブレイクダウンしたか、その中心戦略には5つ種類があります。配布資料の17ページをご覧ください。
地球温暖化研究、ごみゼロ型・資源循環型技術研究、それから自然共生型流域圏・都市再生技術研究、化学物質リスク管理、それから地球規模の水循環変動、というようにブレイクダウンをしています。
黄河が氾濫すると日本海の半分ぐらいまで黄色い水が広がるということからも分かりますように、中国の大河川の状態というのは日本にとっても非常に影響が大きい。黄河は海まで水がたどり着かないような状態にしばしばなっていますし、メコン川などは4つも5つも国が関係している。水に関連する分野で日本が果たすべき役割は非常に大きい。
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