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日本のまわりにはいなくて、インド洋にはいた。なぜだ。

ここで疑問に思うことがある。それは、なぜこの微生物は日本のまわりにはいなくてインド洋にはいたのだろうかということだ。

この謎を解明することで、生命が生まれた環境とはどういうものだったか、という大いなる謎への答えを手にする可能性がある。

インド洋の熱水噴出孔にだけ最古の微生物と同じような微生物が見つかったということは、46億年前の環境を、インド洋の熱水噴出孔が同じように保存していることを意味する。インド洋の熱水噴出孔の近辺では、マグマだけでなく地球のマントルが表層にまで上昇し、ある特殊な環境条件を形成していることが高井さんのグループの研究でわかってきた。また同じようなマントルが表層にまで上昇している場所の熱水噴出孔には、同じような微生物が生息していることも見出した。この特殊な環境条件を導く地質学的な場、そしてそこに起こる熱水活動、その熱水活動のエネルギーに支えられた微生物、この地球と生命のリンケージこそ約40億年前の最古の生態系とその環境の姿ではないかというのだ。

約40億年前最古の生態系が誕生、繁栄したのは、現在の地球で言えばインド洋の熱水噴出孔のような環境だという点については、高井さんは、確固とした自信を持っている。後は、それを実証するだけだ。

もう一つ、インド洋にしか存在しない理由を考えることで、見えてくるかもしれないことがある。石と熱という条件だけで、どうやって生命が誕生したのか、そのエネルギーは何か、というからくりである

インド洋の深海熱水噴出孔での話を聞き終わったとき、私は思わずため息をついた。神秘に包まれていて、誰も踏み込めないのではないかと思った生命誕生の瞬間が、誕生した環境(地球)と生命の繋がりとし、見え始めてきているのだ。

熱水噴出孔は一種類ではない

余談だが、熱水噴出孔には、本当に色々な種類がある。取材最後に粘りに粘って、世界各地の熱水噴出孔を集めた貴重な映像記録を見せていただいた。

ブラックチムニーが多い迫力満点の熱水から、ホワイトチムニーが多い優しい感じの熱水まで、それぞれの熱水が違う性格を持っていることを実感した。

熱水噴出孔には、それぞれ、それを発見した研究者によって面白い名前がつけられている。タイガーという名の美しくて大きな熱水噴出孔チムニーがあるが、この名をつけたのは、阪神タイガースファンの研究者だったらしい(これは秘密)。タイガーに引き続き、その後見つかった熱水噴出孔チムニーにも様々な動物名がつけられていくことになった。

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