刺激される脳、回復する運動機能、そして…精神
この章のキーワードはDBS─脳深部刺激療法。これは、脳に電極を刺して電気刺激を持続的に加える治療法のことです。番組は、パーキンソン病の治療を受けて病状が著しく改善した日本とアメリカの2人の患者さんを紹介しています。また放送では、脳の悲しみを司る部位に刺激を加えることでうつ病を治療することが紹介されました。同様に、他の感情についても制御できる可能性が示されています。
DBSは病気を根本的に治癒するものではなく、機器の電源を切ると病状は再び悪化します。また、すべての患者さんに効果があるとも、手術が100%成功するとも言い切れません。しかし、他の病気治療への応用など、今後の更なる研究開発が期待されています。
一方で我々は、どこまで人間は制御できるのか、そして、制御してよいのかという疑問と向かい合わなければなりません。科学の最先端を目撃した我々は、今後の適切な応用の方向性について考える必要があるでしょう。
番組関係リンク
- THE CLEVELAND CLINIC
- 脳のレントゲン写真にハッキリと写る4つの電極…パーキンソン病やジストニアをはじめとする神経障害に対し脳深部刺激療法を採用しているパイオニア、クリーブランドクリニックのサイトです。医師検索機能があるので、番組に出てきたアリ・リザイ(Ali Rezai)医師についてさらに知ることも出来ます。
- ページ制作: THE CLEVELAND CLINIC, 解説文責: 岩間 祐典
- 日本大学 脳神経外科
- 番組内でパーキンソン病の患者さんに手術を行った日本大学脳神経外科のページです。このとき使われた脳深部刺激療法(DBS)は脳に電極を刺して電気刺激を持続的に加える対処療法(根本的に治癒するものではない)です。日大の片山医師が初めてDBSを行ったのは1979年、ガン性の難治性疼痛の患者さんに対してであり、近年はパーキンソン病の患者さんへの手術を行っています。以前から行われてきたパーキンソン病の治療には薬物によるものがあり、重い患者さんに対しての外科的な手術としては脳の特定部位を破壊する方法がありました。DBSでは脳のある小さな領域を特定して破壊するよりも、広範囲に影響を及ぼすことが出来ます。番組内ではDBS手術後の患者さんの症状は著しく改善されました。番組で最も感動的な場面の一つです。しかし、DBSでは直接電極を刺すわけであり、出血や重篤な傷害を負う危険性はゼロではありません。また、患者さんによって症状は千差万別であり100%改善されるとは言えない点も述べなければなりません。
- ページ制作: 日本大学医学部脳神経外科学講座, 解説文責: 飛鳥井 聡
- メドトロニック社
- medtronic社では、生体工学技術を駆使した最先端の医療機器を使って、パーキンソン病などの様々な慢性的な病気の治療に取り組んでいます。サイト上では、病気の説明(その病気がおきる仕組みや、治療法、そしてその問題など)がかなり詳しく書かれています。また、患者さんの体験記も豊富にあり、特に、脳深部刺激療法により、パーキンソン病の主な症状である、手足の震えや筋肉の強張りがおさまっていく様子は本当に感動的でした。日本メドトロニック社のサイトもあります。
- ページ制作: メドトロニック社, 解説文責: 野村 直子
関連事項リンク
DBS全般
- 応用広がる「脳ペースメーカー」(上)
- 脳に埋め込むタイプのペースメーカーの記事です。パーキンソン病や癲癇(てんかん)の治療に対して実用化されていますが、慢性疼痛、鬱病、さらには肥満症などの抑制への応用を目指して臨床試験の準備が進められています。
- ページ制作: Noah Shachtman(Hotwired Japan), 解説文責: 大西
- 応用広がる「脳ペースメーカー」(下)
- 脳に埋め込むタイプのペースメーカーの詳細に関する記事です。ペースメーカーの埋め込みには正確さが求められる一方、有効に機能する原理は正確には解明されていないので、現状では賛否両論が存在しています。
- ページ制作: Noah Shachtman-Hotwired Japan-, 解説文責: 大西
パーキンソン病・ジストニアとDBS
- DBSを知らなかった医師
- DBS(脳深部電気刺激)手術を受けたパーキンソン病の男性が、事故で救急室に運ばれたときに起きた問題を紹介する記事です。
- ページ制作: waku2さん, 解説文責: 青山 倫子
- Deep brain stimulation
- ガンの次に人類の最大の死因となるのは神経退縮疾患であるとも言われています。パーキンソン病の症状を抑えるDBS(Deep Brain Stimulation: 脳深部刺激)という手法のメカニズムと、その成果を述べた講演です。講師であるロザノ氏は番組にも登場しており、番組の別の場面に登場していたクリーブランドクリニックのリザイ医師はこのロザノ氏のお弟子さんです。
- ページ制作: Andres Lozano, 解説文責: 平井 洋一
- Brain Surgery to Cure the Mind
- 脳の手術で心を治療する─パーキンソン病の治療に用いられているDBS(脳深部刺激)を、精神病に苦しむ人々の症状緩和にも応用しようという試みを、BBCラジオが報じました。音声が聞けます。
- ページ制作: BBC , 解説文責: 相崎 真一
- ジストニアの森
- ジストニアという病気の症状や治療法について取り上げています。
- ページ制作: aoneko, 解説文責: 飛鳥井 聡
- パーキンソン病研究史
- 療養生活の質の向上などを目指して、患者、家族が自主的に活動を行っているパーキンソン病友の会の歴史が書かれています。それとともに、パーキンソン病の研究の歩みが分かりやすく表になっています。
- ページ制作: パーキンソン病友の会, 解説文責: 野村 直子
- 全国パーキンソン病友の会
- パーキンソン病患者が人間としての尊厳を侵されず、医学の進歩研究に寄与するとともに、療養生活の質の向上と社会啓発活動、相互の支援、親睦、および国内外の関係諸団体との交流を図り活動している団体です。
- ページ制作: 全国パーキンソン病友の会, 解説文責: 中島 亮介
- APPLE◆明るく生きるパーキンソン病患者のホームページ
- パーキンソン病治療のQ&Aのほか、実際にDBSの手術を受けた患者の体験記も載っています。中には海外の患者が書いたものもあって内容が充実しています。
- ページ制作: Apple─明るく生きるパーキンソン病患者のホームページ, 解説文責: 飛鳥井 聡
- 日本大学医学部付属板橋病院
- 東京都板橋区にある日本大学医学部付属板橋病院のメインページです。番組ではこの病院でパーキンソン病の患者さんが手術を受ける場面が紹介されました。
- ページ制作: 日本大学医学部付属板橋病院, 解説文責: 飛鳥井 聡
- パーキンソン病とは
- 医療機器メーカーMedtronic社日本法人のサイトにある、パーキンソン病のページです。脳深部刺激療法(DBS)についての詳しい説明や治療が受けられる病院の一覧があります。
- ページ制作: 日本メドトロニック, 解説文責: 飛鳥井 聡
- 医療ルネサンス
- 最新医療を取り上げた読売新聞の連載であり、パーキンソン病についても過去何度か取り上げられています。また10月末にはジストニアについての記事がありました。
- ページ制作: 読売新聞社, 解説文責: 飛鳥井 聡
- NPO法人 ジストニア友の会
- NPO法人ジストニア友の会はあまり世間で知られていない病気であるジストニア患者の交流や病因究明の働きかけなどの活動を行っています。番組で出てきたジストニアという病気の説明があります。
- ページ制作: NPO法人 ジストニア友の会, 解説文責: 飛鳥井 聡
- Functional Neurosurgery
- 東京女子医科大学講師でありDBS治療を行っている平孝臣氏のページです。サイト内の掲示板では活発に相談がされています。
- ページ制作: 平 孝臣, 解説文責: 飛鳥井 聡
- パーキンソン病治療ガイドライン
- パーキンソン病について、薬物療法から磁気治療までの現行の治療方法を取り上げたガイドラインです。脳深部刺激療法(DBS)については触れられていません。
- ページ制作: 日本神経学会, 解説文責: 飛鳥井 聡
- 脳深部刺激(DBS)について
- KKR大手前病院脳神経外科によるDBSの説明です。リンクで張られている大阪日日新聞の記事も参考になります。
- ページ制作: KKR大手前病院, 解説文責: 飛鳥井 聡
- Washington University offers newly approved treatment for Parkinson's
- 2002年1月の視床近くの部位へのDBS(脳深部刺激)の許可に関する記事です(もともとFDAによって1997年に視床へのDBSは許可されていました)。これにより、より幅広い症状の緩和が可能になったのです。この治療法が、薬や他の外科治療に比べてリスクが非常に低いなどの利点があること、パーキンソン病そのものを知る研究にも役立つことなどが紹介されています。
- ページ制作: Science Blog, 解説文責: 古川 遼
- Parkinson's treatment available
- ワシントン大学による、公式ニュースページです。スタッフによって随時更新され、最新ニュースを見ることができます。この日のニュースは、DBSを使うパーキンソン病治療についてです。英語ページです。ちなみに、ワシントン大学の公式ホームページは http://www.wustl.edu/ です。
- ページ制作: Gila Z. Reckess (Washington University in St. Louis), 解説文責: 大島 有美子
- Cyborgs of New York
- 一人の患者に密着取材して、その患者の症状を追いながら、DBSの専門的な説明や、具体的に治療にかかるコストまで詳しく載せてある、とてもよく調べられていてわかりやすい記事です。英語ページです。
- ページ制作: STEVE DITLEA (New York Daily News), 解説文責: 大島 有美子
- 脳深部刺激術(DBS)の体験記
- 実際にパーキンソン病でDBS治療を受けた患者さんたちの体験談が載っています。体験した人にしかわからない生々しい文章があり、参考になります。DBS治療実施病院リンクなどもあり、情報量も多いです。
- ページ制作: APPLE=明るく生きるパーキンソン病患者のホームページ , 解説文責: 大島 有美子
うつ病とDBS
- Deep impact: A way of switching depression off
- 「うつのスイッチを切る方法」と題して、脳深部刺激の臨床試験の被験者となった男性を取り上げたEconomist誌の記事です。精神療法でも薬物による治療でも収まらなかったうつの症状が、改善したそうです。「脳に電極、体に電池を埋め込むにしても、自殺を防げるならば十分利益がある」と述べられています。
- ページ制作: WIREHEADING.COM, 解説文責: 平井 洋一
- Experimental electrode implant treatment shows promise for helping severely depressed
- Dr. Lozanoらが行った、DBS(脳深部刺激)による"うつ"治療の記事です。重度のうつ患者を対象とした臨床試験を行った結果、6人の被験者のうち4人に改善が見られたそうです。
- ページ制作: Kelly Connelly(EurekAlart), 解説文責: 平井 洋一
- UTU-NET
- 「うつ病」という言葉は聞いたことがあっても実際にわからない人のために、うつ病に関する基本的な総合サイトです。
- ページ制作: UTU-NET, 解説文責: 大島 有美子
うつ病と迷走神経刺激(VNS)
- What Is Vagus Nerve Stimulation (VNS) Therapy™?
- 脳神経の迷走神経(聴覚、味覚、内臓の分泌などに関係)を刺激することによって、心臓発作や、重度のてんかんなどを、副作用を出さずに治療するVNS治療について詳しく説明したページです。脳深部刺激治療法のひとつです。装置は胸部に埋め込まれます。VNS治療が、薬でもなく、脳の手術でもないことが強調されています。この治療によって、病気が治った人の体験談も集められており、装置が働く仕組みをCGで見ることもできます。英語ページです。
- ページ制作: WebMD, 解説文責: 大島 有美子
- 体内埋め込み型電気刺激装置による新しい鬱病治療
- 医療機器メーカーの米サイバロニクス社が、迷走神経を刺激する電気的にVNS治療によって、うつ病の症状を改善させる結果が得られたという記事です。
- ページ制作: ワイアード・ニュース・レポート, 解説文責: 大島 有美子
- 「脳ペースメーカー」で鬱病治療
- スタンフォード大学の情緒障害クリニックでの取り組みについての記事です。脳の迷走神経を電気刺激することによってうつ病を治療するVNS治療の利点を、現在行われているECT(電気ショック療法)と比較して述べています。薬やECTなどの従来の治療では効果の上がらない重度の患者に新たな治療法を提供しています。
- ページ制作: Louise Knapp(Wired News), 解説文責: 大島 有美子
準備中