磁気閉じ込め核融合
太陽で起きているのとほぼ同じ核融合を目指す「磁気閉じ込め核融合」。その原理、方法、炉を実現するために必要な機器について解説しています。
磁気閉じ込め核融合の原理
プラズマでは原子核や電子がばらばらに飛び回っていることはすでに説明しました。
図.1 右へ行くほど原子同士のつながりが弱く、プラズマではついに原子自体がそのかたちを保てなくなる。
電子や原子核は、プラスやマイナスの電荷を持った粒子(荷電粒子)です。磁気核融合では、動いている荷電粒子が、磁場から力を受けることを利用します。この力、高校で物理を取った人には「ローレンツ力」とか「フレミングの左手の法則のやつ」と言ったら伝わるかもしれません。
図.2 まっすぐな方向に磁力がはたらいていると、動いている荷電粒子はその周りに巻きつくように動く。
図.3 オーロラ
磁場から力を受けた粒子は、何らかの領域に範囲を限定されて動きます。オーロラが上から降ってくる光のカーテンのように見えるのは、左の図のように、荷電粒子が帯状の領域に範囲を限定されて動きながら発光しているからです。
これと同じ原理を利用すれば、磁場のかたちを工夫してやることで、プラズマ状態の粒子を特定の場所に閉じ込められます。右の図は、金網のように表現された炉の中でプラズマ状態の粒子が動く軌跡をシミュレーションで描画したものです。青と赤の線がその軌跡で、ぐるぐる回って出口がなく閉じ込められているのが分かりますね。クリックすると大きな図が出ます。
ちょっと一息
立花ゼミはこれまでも二度、自然科学研究機構のシンポジウムのお手伝いをしてきました。
第一回では内容の理解を助ける小冊子を作り、第二回(ページは今、システムの都合で見られない状態になっています─近日中に直します。)ではインターネットを使って講演者の方々の発言を逐一文字情報としてリアルタイム配信しました。
今回はこのように基礎知識をできるだけ分かりやすくお伝えしようと四苦八苦しています。実は、引用元や資料提供元の記載がない図版や写真は全てゼミ生arc@dmz (加藤 淳)の手になるものです。なんちゃって、ちょっとだけ自己主張させてください(笑)。このページは図版が多くて苦労しました。
毎回毎回手を変え品を変えシンポジウムをよりよくしようとがんばっているわけですが(いちいち自分で言ってたら顰蹙買いそう)、三回を通して変わっていないこともあります。それは、講演者の方々に事前に講演内容を取材することです。
シンポジウムのプログラムコーディネーターである立花先生に金魚の糞のごとくついて行き、先生の話に耳を傾けながら、たいてい分からないことがあるのでそのまま質問します。時には大学生として恥ずかしい質問をすることもありますが、先生方はみな一様に真摯に答えてくださいます。もちろん「あの立花ゼミのゼミ生だから」丁寧に答えるだけ、という穿った見方もできます。ですが、実際に配信されている動画をご覧いただくと、きっと先生方の人柄のよさが分かっていただけると思います。
「いかにも研究者な」先生もいれば、「まとめ役らしく説明が分かりやすい」先生もいて、動画配信は生の先生像をお伝えする一助にもなっているのかな、なんて思います。この記事が掲載されるときはシンポジウムまであと一週間もありませんが、ぜひシンポジウムにいらっしゃるまえに他の記事や動画もご覧になってみてください。壇上との距離が“ぐっ”と近く感じられると思います。
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