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核融合研取材同行記 書いたひと:岩崎

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 岐阜の土岐市にある、核融合科学研究所にいってきました。

 東京駅からまず、東海道新幹線で名古屋へ行き、そこから中央線で多治見へいきました。そこから、タクシーで20分くらいのところに核融合研はありました。丘というか、山の上に建物が建っている感じでした。昼に食堂でご飯を食べましたが、ふもとにある家々が小さく見え、なかなか見晴らしが良かったです。

 同行メンバーは、立花先生を含め、平井くん、野村さん、あいちゃん(相崎)と僕の5人でした。これまでの取材では、僕がビデオカメラ係でしたが、今回はあいちゃんがやってくれたので、僕はデジカメ&テープレコーダー係になりました。

 ゼミ生は立花さんよりも一時間ほど早く、11時に現地に到着し、正午まで長山好夫教授の案内で、施設内を見学しました。長山先生そのひとが、今回のシンポジウムの講演者の一人です。

 長山先生は、すらっとしていて背の高い方で、東大卒、つまり僕たちの先輩に当たります。僕たちの学年や科類について、たずねてきました。僕は理兇覆里任垢、もしかしたら説明に気を遣ってくれたのかもしれません。長山先生が学生だった当時の理気蓮△修譴呂垢気泙犬ったのかもしれません。

 最初見に行ったのは、スパコン(スーパーコンピュータ)がある部屋で、部屋の左右に仕切りがあり、奥にスパコンが並んでいました。どちらがスパコンで、どちらが汎用機なのか、という説明を長山先生がしていると、そこへ年配の先生(紹介なし)がひょっこりやってきて、右にあるのがスパコンで、左が汎用機だよと教えてくれました。

 次に、制御棟に入りました。ここでは、来訪者は、オーバーシューズというもので靴を覆わなければいけません。はじめにネットワーク系を見せてもらい、研究所間での実験データのやり取りについてうかがいました。

 そして、次にやってきたのが、コントロール室です。ここが今回の訪問で、僕が一番印象を受けたところです。中へ入ってみると、天井が3階分くらい高いところにあり、部屋は半円状の形をしていました。部屋の中央には、モニタや各装置の作動確認のパネル、LHD管内の空気の密度関数の表示がありました。

 コントロール室を見学したときは、LHDは運転していなかったので、ちょっと残念でしたが、それだから見学が可能だったというわけです。

 それから、長い廊下を渡り、市民への説明用の展示を通り過ぎ、LHD本体がある建物に到着しました。入るまえに、ヘルメットをかぶりました。

 平井くんはなぜか、ヘルメットを前後逆にしてかぶっていました。

 そこでは、人が建物の中にいるかどうかが厳しく管理されていて、入り口が遊園地の乗り場のようになっていました。やはり、人が中にいるときは運転しないそうです。

 まず、超伝導コイルを冷やすための液体Heのタンクや、プラズマを加熱するための各種のガスのタンクを見て回りました。

 次に、中性子線加速器が入っている管を見ました。そこで僕がはじめて知ったのは、加速のために粒子に電圧をかけるのは、わずか10cmくらいの短い距離だということです。10cmで、プラズマにぶつけるに足りるの速度まで加速できるというのは意外に思いました。

 それから、2ミリ角ほどの固体水素を、LHD中心に空気銃で打ち込む装置を見せていただきました。

 LHD本体がある部屋を出て、LHDの小型模型があるところに来ました。LHD(Large Helical Device)とはつまり、大型螺旋状装置のことで、大きな装置がドーナツ状に螺旋を巻いています。素材はクロム鉄ニッケルで、加工には高度な溶接技術が欠かせない、と長山先生が言われました。日立製作所の溶接技術はすばらしい、と思いました。

 核融合科学研究所には、職員が250人いるそうで、うち研究者が150人、技官が50人、事務が50人なのだそうです。加えて、液体He装置の運転人員が交代で150人いるそうです。たくさんの人たちの協力・支援でLHDが成りたっているということがわかります。

 余談ですが、核融合研で一番コストがかかるのは、人件費と電気代なのだそうです。

 施設の見学後、昼食を食べたり、図書館を見たりして過ごしてから、13時30分ころから長山先生のお話を聴きました。

 長山先生が研究されていることは、トカマク内部のプラズマの崩壊現象と、プラズマの電子温度計測です。トカマク(tokamak)というのは、環状磁場によってプラズマを閉じ込める装置のことで、もともと露語です。高温プラズマを閉じ込めることで、核融合が起きやすくなると考えられていて、プラズマの閉じ込めこそが、核融合を起こすのに重要になっています。

 LHDや球状トカマクなど、装置が幾何学的にいろいろな形状をしているのは、この、プラズマの有効な閉じ込めのための工夫です。

 トカマクの中のプラスマは、ある条件の下では、崩壊することが知られています。したがって、プラズマが崩壊する仕組みを知らなければ、核融合炉の実現はむずかしいというわけです。

 長山好夫教授は、まさにそこを研究しています。プラズマの崩壊現象を研究するには、パラメータをいろいろかえてみて、実際にプラズマを崩壊させなくてはいけません。プラズマが崩壊すると、装置が大きな音を立てて、装置内の膜が剥がれるのだそうです。お話を聴いていて、長山先生の研究はまさしく「失敗学」だな、と感じました。そして、この研究が将来的な核融合炉の設計に反映されることになります。

 長山先生は、プラズマの崩壊実験は、装置のメンテナンスなどのコストが大きくて、なかなかさせてもらえない、と嘆いていました。また、どうしても研究報告がネガティブなものになりがちだと言っていました(それでも、プラズマの物理としての学問はできる、とポジティブな姿勢をお持ちでした)。

 立花先生もおっしゃいましたが、こういう研究をもっとおこなうべきだと感じました。そうでなければ、将来的な核融合炉の危機管理ができなくなってしまいます。

 長山教授のお話をひととおり聴いてから、シンポジウムでの発表内容の修正をしていきました。長山先生は、パワーポイントの資料を大変丁寧に練られる方で、とても感心させられました。しかし、扱っている内容がむずかしく、説明の文も長くなりがちなところがありました。また、プラズマの専門家しかわからないような、玄人向けの話題もいくつか見受けられました。

 そのあたりの点を、立花さんや僕たちゼミ生がつついてみて、シンポジウムのコンセプトに見合う、「見て」「わかる」内容になるように、長山先生にお願いしてきました。当日の発表を、僕たちも楽しみにしたいと思います。

 その後、所長の本島修さんにお会いして、僕たちがやっているゼミの活動などについて、お話をしてきました。本島先生は、今年中にも核融合を起こす実験に取り組めるだろう、とおっしゃっていました。核融合研のこれからの動向に注目したいと思います。

 午後6時くらいに核融合研を後にしました。

 今回の取材での収穫は、一つの国家的な大プロジェクトの現場を目の当たりにした、ということです。いまだ、開発途中で先が良く見えない核融合炉ですが、それだからこその面白みや、やり甲斐があると感じました。 (終)



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