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海部先生の講演内容
ページ先頭へ↑海部 宣男 国立天文台台長 |
海部 宣男先生より
ページ先頭へ↑「見えてきた!宇宙の謎、宇宙生命の謎」
さまざまな望遠鏡のめざましい発達により、21世紀の天文学は新たな段階に入った。とりわけ大きな課題は、膨張宇宙の謎への挑戦、そして太陽系外の惑星と生命への挑戦である。
私たちが住むこの宇宙には、大きな謎がたくさんある。存在が確認されてから20年を経てもまだ解けない大きな謎のひとつが、暗黒物質(ダークマター)だ。しかも最近、さらに大きな謎として、宇宙膨張を加速するというダークエネルギーが登場した。
その存在が本当なら、まさにアインシュタインが撤回した「宇宙項」の復活である。さらに、137億年前と考えられる膨張の開始はすなわち時間と空間の形成のときでもあることが、明確に認識されるようになった。21世紀の宇宙論は、望遠鏡による観測と加速器実験と理論とから、「宇宙とはなにか」総合的に追いはじめているのである。
※上図は、国立天文台が開発する「4次元デジタル宇宙シアター」のひとコマです。微惑星の円盤の中で、今しも惑星の形成が進みつつある様子を表しています。理論に基づいたコンピューターシミュレーションの立体可視化データです。
「4次元デジタル宇宙シアター」は、講演会場にてデモ公開の予定です。
いっぽう、ある意味では宇宙論以上に人類に大きなインパクトをもたらす発見・観測が進行中だ。それが、太陽系外の恒星を回る惑星=「太陽系外惑星」の観測である。
1995年以来、すでに百数十個の「太陽系外惑星」の存在が確認され、さまざまな惑星系の驚くべき多様な姿が浮かび上がってきつつある。これまで太陽系だけで考えられてきた常識は覆がえされ、「惑星系」の概念は大きく拡大した。
太陽系外惑星の観測はまだ、緒についたばかりだ。今後15年から30年の間に、地球型の小さな岩石惑星の発見、その観測による生命存在の探査が、確実に進んでゆくと思われる。
講演では、こうした宇宙の大きな謎への挑戦について、いま大きな役割を果たしているすばる望遠鏡の観測、チリで建設が進む巨大電波望遠鏡アルマへの期待、また国立天文台が開発中の「4次元デジタル宇宙シアター」の映像も含めながら、紹介する。
この宇宙には、人間が認識すらしていない大きな謎が、まだまだ隠されているはずだ。
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