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長山先生の講演内容

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長山 好夫
核融合科学研究所教授

第9章 まとめ

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 核融合は無限のエネルギー源として期待されているが、ようやく核融合グレードの高温プラズマ閉じ込めのメドが立ち、核燃焼実験を行うべく国際協力の超大型トカマク(ITER)を建設する段階になった。しかしトカマクプラズマでは中心部が崩壊するソートゥース崩壊やプラズマが消滅するディスラプションのような崩壊現象が発生する。これらは磁気面の破壊によって起きる。磁気面は目には見えないが磁気面上では電子温度が一定である。そこでプラズマの電子温度に敏感な軟X線やマイクロ波(ECE)のイメージング計測により、崩壊現象の謎の解明が行われている。

 ソートゥース崩壊では、軟X線やECEの断面像がカドムツェフの磁気再結合モデルと一致するのに対し、qの変化は全く異なると言うソートゥース・パラドックスが長く問題となっていた。高精度のECE断面像の測定から、局所磁気再結合が示唆された。局所磁気再結合ならばソートゥース・パラドックスは解ける。現在、多チャンネルマイクロ波検出器によるECEイメージングにより、磁気再結合が局所的に起こることが可視化されるようになった。

 高ベータ・ディスラプションについて軟X線やECE断面像再生計測を行い、バルーニング・モードによって引き起こされることがわかった。バルーニング・モードが磁力線の局所再結合を引き起こし、熱と粒子をプラズマ外へと吐き出す。

 高ベータ・ディスラプションを避けるには、理論的にはバルーニング・モードを第二安定化できるSTやLHDに期待が集まる。高ベータ・ディスラプションが起きるのはスーパーショットやITBなどの高性能プラズマである。しかしそれらはある程度以上加熱しないと発現しないので、LHDや提案中の大型STでの高加熱実験が大いに期待される。

 蛇足だが、核融合プラズマには、第二安定化や改善閉じ込めなど、マジック現象が多々ある。核融合研究ではこれまで多くの困難に出会ったが、マジック現象の発見によって何度も救われてきた。このように、未知の現象の宝庫である核融合プラズマは学問的にも実に魅力的である。

参考文献

ページ先頭へ↑ [1] 核融合会議開発戦略検討分科会:「核融合エネルギーの技術的実現性計画の拡がりと裾野としての基礎研究に関する報告書」, 原子力委員会ホームページ. http://aec.jst.go.jp/jicst/NC/senmon/old/kakuyugo/siryo/siryo136/siryo2.htm (2000).
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